テキストサイズ

桜並木を見おろして【ARS・O】

第6章 銭湯にて・ボーイズトーク

「智もさ、東京に帰ってからいろいろあったわけじゃん。お前の10年がさ…。」

タケシは、指で湯をピッて弾いて俺の顔を濡らした。

「あぁ、そうだな。」

薬湯のおじいさんは、また別の民謡を歌いだした。

「なぁタケシ。お前、いま幸せか?」

俺は、タケシに聞いた。

タケシは、ちょっと驚いた様子で眉を上げた。

そして、ふっと一息ついて言った。

「ああ、当たり前じゃん。新婚ほやほやだよ?…すげぇ幸せだよ。」

「そう、そうだよな…。」

俺は、また浴槽で顔を洗って、タケシに注意された。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ