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桜並木を見おろして【ARS・O】

第8章 桜並木を見おろして

白い大きな建物が見えてくると、大野さんの足が心持ち速くなる。

「変わってる…」

大野さんが、白い建物を見上げてつぶやく。

大野さんの母校の美大。

大々的に増築されていて、だいぶん様変わりしている。

大野さんは正門に回った。

正門のすぐの第一校舎は昔のままだった。

大野さんは、ずんずんと中に入っていく。

「あの…」

私が声をかけると、大野さんは振り返った。

「大丈夫。教授は定年退職してるし、今日は日曜日だからサークルの学生くらいしかいないよ。」

大野さんは微笑んだ。

私は、大野さんに続いて校舎の中に入った。

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