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先生…お願い。早く治して・・・

第8章 目覚め

中ではICUのスタッフが石川が来るのを待っていた。

「どうした?」


『げふぉッ…ゲホっ』と綾が咳き込んでいた。


駆け寄る石川
「綾ちゃん、大丈夫かい?」



ゲホッ…ゲホっ…


『 ……先 …生…、気持ち…悪い…。』


「分かった、大丈夫だよ。」そう言って優しくさすりながら、スタッフに指示をする。


スタッフは石川が指示をした薬を持ってきた。



石川は

「直ぐに楽になるからね。」

と、右腕に繋がれている点滴に薬を入れた。



「ごめん、ちょっと胸の音、聞かせてね」



先生は私の病院着の紐をほどき、前を開いた。

やだっ…。隠したい


そう思っても両腕とも動かせない。



「ごめんね、ちょっと冷やっとするよ」そう言うと、露わになった私の胸に聴診器をあてた。


司馬先生以外の人に見られるのはいつ以来だろう…

でも先生の顔は凄く真剣だった。

私は気持ち悪さと、恥ずかしさ、そしてよく分からない今の自分の状況に、気が付くと泣いていた…。



聴診器をあてていた先生の手が止まる



「んっ?どうした?」石川先生が覗き込む。



" …っんッ…。っんっ…"っと、涙が止まらない




「大丈夫だよ。怖いかい?」


"んんっ…ぅんっ…"と頷いた。


先生は私の頭に手を置き、
「大丈夫、大丈夫だよ。心配しなくていいよ。麻酔が抜ければ吐き気も止まるからね。それに、もうすぐ薬も効くからね」

そう言って優しくなだめ、開いていた病院着を整え紐を結んでくれた。



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