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先生…お願い。早く治して・・・

第48章 本物の治療


宮田も綾の父も声を掛けるが、“嫌だ”としか言わず、泣き続ける綾を石川は、抱き起こすと、自分の胸に顔を埋めさせるようにギュッと抱きしめた。


石川 :「よしよし。よく頑張ったな。もう大丈夫だから。誰もお前を傷つけたりする人はいない。先生……、ずっとお前の事守るから。だからもう泣かなくていいんだよ。」




綾 :『ぅっ…ううっ…せんせぇ…』



石川 :「大丈夫、大丈夫だよ。もう泣かなくていいから。」


綾 :『んぅ。ううっ…んっ…ひ…っく…。』


石川は自分の胸に顔を埋める綾の顔を覗きこみ、綾の柔らかな髪を掻き上げると

石川 :「綾、お前、ほとんど寝て無いだろ?…ん?」



そう言うと、石川は側にいた宮田に


石川 :「宮田、俺のカバンの中に安定剤入ってるから、打ってくれないか?俺このまま抱いてるから。」



宮田 :「……。」

やはりお嬢様に医療行為をする事を戸惑っているようだったが、


石川 :「宮田…、病院まで少しでも休ませてやれ。大丈夫だから。」


石川の言葉に宮田は、少し考えると

宮田 :「……分かりました。」

石川のカバンを開け、注射の準備を始めた。


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