
先生…お願い。早く治して・・・
第72章 石川先生は不在
それから石川先生が仕事で学会へ行き
2日が経った…
高梨先生と司馬先生は忙しい中、時間を見つけては朝晩と交代で診察に来てくれた
今日の朝の回診は司馬先生だ。
いつもと変わらず、無表情でクールな司馬先生は
石川先生や高梨先生と違って少し怖い。
しかし強面な顔とは裏腹に、触診する指は凄くソフトで優しい。
胸の膨らみを優しく押すと、
「ここは?痛くないか?」
『うん。』
何度かそのやり取りへ続き、お腹の触診へと移った
丁寧に探る様に優しく触れる指に、恥ずかしさのドキドキというより、お願いだから痛い所がない様に…と祈る気持ちで診察を受けた。
司馬は下腹部を念入りに触診すると
ある一定の場所でピタっとその指が止まった
「ここ痛くないか?」
そう言っていつもより少し強くその場所を押した
『大丈夫です』
司馬は綾の言葉を疑う様に、その場所を念入りに触診した
「まぁいいだろう。」
私は診察ではだけたパジャマを少しホッとしながら整えた
「なぁ?本当に痛く無かったか?」
『え?うん…。』
司馬先生は少し疑う様な表情を見せた。
司馬先生の真っ直ぐで鋭い眼差しに、ドキッとしつつも
『本当に大丈夫です』
と返した
