
先生…お願い。早く治して・・・
第72章 石川先生は不在
本当に憂鬱…
司馬先生にあんな事言われて、本当に痛くなかったけど、あの言葉が妙に気にかかる。
16時半か…
とっくに高梨先生の回診が始まっても良い時間なのに中々来ない
来て欲しくは無いのだけれど、
今日に限っては、まだ痛くないうちに来て欲しい。
痛いのかな?大丈夫かな?
自分で触って確認するのも怖い。
触って痛かったら…と思うと今よりもっと診察が怖くなるもん。
今日を乗り越えれば、明日は石川先生が戻って来る
はぁ〜、ため息しか出ない。
こんな時の待ち時間はやけに長い
しばらくすると、
トントン…
病室のドアをノックする音が聞こえた
「ごめん!!遅くなって…」
紺色の手術着らしき服の上に白衣を羽織り、薄っすらと汗ばんだ顔で高梨先生はやって来た
「本当はもっと早く来るハズだったんだけど、急患で…」
高梨先生は、申し訳なさそうな表情見せた
「で、どお?身体の調子は…痛み出てない?」
先生はそう言いながら、ポケットから聴診器を取り出した
『…ぅん。。』
「そっか、良かった。でも一応一通り診察させてね」
にこっと笑った。
柔らかなパーマヘアの高梨先生の優しい微笑みは、嫌いな診察を少し和らげてくれる
だけど、司馬先生の朝の診察言われた事が、怖くて気がつくと涙が溢れる。
痛かったらどうしよう…
