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君と僕の見ている風景

第16章 1st Anniversary

ー和也sideー


「はぁ…やっと泣き止んだ…」


智「ほえー…」


さとしがぐったりとソファーに腰掛ける。


智「1時間…か…」


「落ち着いたって言うより泣きつかれて寝ちゃった感じだね」


太陽くんは俺の腕の中でスヤスヤと寝息を立てている。


翔さんと潤くんが出て行ってから寝付くまで泣き続けたせいでしっかりと涙の後が残っていた。


「赤ちゃんでも感じ取るのかな。暫く帰らないって」


智「だなぁ…あんなに泣くとは思わなかった」


「コーヒー入れようか」


智「おう。サンキュ」


「じゃあ太陽くんお願い」


俺はさとしに太陽を預け、キッチンに向かった。


出だしでいきなり泣かれて疲れたけど…この充足感って…よく翔さんも話してたな。
「親って仕事は人生で1番やりがいのある仕事だよ」って。
ほんのちょっとだけ…分かった気がする。
なんて気が早いか。


「さとしーお待たせ…あれ」


リビングに戻るとさとしは太陽くんを抱っこしたまま眠っていた。


智「ぐぅ…」


太陽「すぅ…すぅ…」


「ふふっ、似てない親子」


笑いながらコーヒーをテーブルに置き、携帯を取り出した。


2人の幸せそうな寝顔を写メに録り、翔さんに送った。


『パパと息子、熟睡中』


携帯をしまい、さとしの隣に腰掛けた。


「………」


2人の寝顔をジッと見つめる。


「何か…幸せ…」


思わず妄想が膨らむ。
さとしがいて…子供が居て…そんな幸せな生活。
俺も…さとしの子供…欲しいな。
さとしにそっくりの男の子…。
その子をさとしが抱っこして…大きくなったら一緒に釣りに行ったりするのかな…。


そんな光景…いつか見れるのかな。


さとしの肩に顔を寄せながら、しばらくその幸せな妄想に頭を膨らませた。

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