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君と僕の見ている風景

第6章 新生活

ー潤sideー


翔「ん、美味しい!」


ジンジャーティーを一口飲んで翔は笑顔になった。


翔「冷たくて喉越し良いし…生姜がちょうど良く香るね。それに…ムカムカが気持ち収まったかも」


「良かった。生姜は生じゃないと効き目が薄いって聞いたから…すりおろして入れたんだよ」


翔「うん…これ良い」


コクコクと頷いて翔は俺に微笑んだ。


翔「潤ありがと」


「いいって。当たり前の事だから」


笑顔の翔を見てふと、思い出す。
昨日の旬からの電話を。


「翔。あのさ」


翔「ん?」


サンドイッチを食べながら翔は俺を見つめてくる。


「………昨日旬から電話あってさ。俺達のお祝いしたいから家に来ないかって。翔太や力も呼ぶって」


翔「本当に?」


「………真央も…呼んだって」


翔「………」


サンドイッチを食べる翔の手が止まる。


「………無理にとは言わないから」


翔「………無理だなんて言ってない。行くよ」


「え?」


予想外の返事に俺は驚いた。


翔「………お祝いしてくれるんだろ?水差す様な事したくないから」


サンドイッチを黙々と食べながら翔は立ち上がり、片付けを始めた。


「翔」


翔「………」


振り向きもせずに茶碗を洗ってる。
やっぱり、無理してるんだ。


「翔」


「………」


翔の後ろに立ち、翔を抱き締める。


「………いつも言ってるけど、俺は翔だけだよ。翔を愛してる。真央は…いい仲間だよ。今でもこれからも」


翔「………分かってるよ」


茶碗を洗っていた翔の腕が止まる。


翔「頭じゃ分かってる。潤を信用してない訳じゃない。真央ちゃんの事も…凄く良い子だって知ってる。俺が…俺が悪いんだ」


「翔、翔は悪くないって。俺が悪いんだ。俺のせいで…翔も真央も傷付けた」


翔と別れ、忘れられなくてもがいてる時に真央と出逢った。
彼女なら、そう思った。
翔を忘れる為に利用したつもりはなかったのに…結果的にそうなってしまった。
利用した上に…傷付けてしまった。
だから…真央には幸せになって欲しいと願ってる。


翔「ずっと…こうして抱き締めてて。潤」


「………もちろん」


少し震える翔の身体を俺は全身全霊で抱き締めた。

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