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君と僕の見ている風景

第6章 新生活

「優さんは小栗くんと結婚はまだしないの?」


俺はまな板の上で包丁と野菜と格闘しながら隣に立つ優さんに話し掛けた。


優「どうなんだろ。彼がまだふんぎりつかないみたい」


「そっか…」


小栗くんたちに誘われた俺達の結婚のお祝い。
この日、丸一日オフだった俺は早目に2人の来るマンションへとやって来た。
料理の上手な彼女に教わろうと思ったけれどレベルが高過ぎて結局お手伝いになってしまった。


優「まぁ葉っぱはかけていくつもりですよ。そうしないと決断してくれないから」


「ははっ、強いな優さん」


優「そんな事無いですよ。心折れた事もありましたけどね。回りも応援してくれたから。『あいつお前に捨てられたら一生独身だから頼むよ』って。松本くんとか」


「そうなんだ…」


優「うん。本当感謝してるんですよ。彼や…生田くんには。だから2人が結婚してくれて良かったです」


「ありがと。でも…入籍はいつになるか…」


俺は切り終えた大根を彼女に渡した。


優「あ、ありがとうございます。でも松本くんらしいな。『お義父さんに認めてもらうまでは籍は入れない』なんて」


「俺は構わないって言ってるんだけどね。頭固いからあいつ。まぁ…子供産まれるまでに父さんが折れてくれたらって思ってるんだけどね…」


優「ふふっ。よし、翔くんありがとうこれでOKかな」


「やっぱり俺が切った野菜はいびつだなぁ…」


優「そんな事ないですよ。上出来です」


するとタイミングよくマンションのエントランスのインターホンが鳴った。


優「はーい」


ボタンを押して応答すると、聞き覚えのある声が返ってきた。


真央『こんばんはー』


「………」


優「いらっしゃい。どうぞ」


エントランスのロックが外れる。


………もうすぐ彼女がここに来る。どうしよう。
表情に出ていたのか、優さんが俺の顔を覗きこんだ。


優「大丈夫ですか?」


「ん?うん大丈夫」


にっこり微笑むと彼女はキッチンへと戻っていった。


はぁ…。
自分から行くって行ったのに後悔しそうだ。
駄目だ。楽しまないと。皆お祝いしてくれてるんだから空気悪くしちゃ駄目だ。


ピンポーン


部屋のインターホンが鳴る。


「俺出るよ」


そのまま俺は玄関へと足を運んだ。

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