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Starlight Kiss

第9章 tragic love②

「昌宏さん…」


坂本「松岡」


松岡「………」


暫く佇んで俺達を見つめていた昌宏さんは…急にスタスタと俺達の元に向かって来た。


松岡「お久し振りです」


坂本「………おう。久し振り」


松岡「翔に付き添ってくれたんですか。わざわざすみません」


坂本「いや…。お前こそもう仕事大丈夫か」


松岡「はい」


「昌宏さん…」


昌宏さんは俺と目を合わせずに坂本店長と会話していた。


坂本「松岡が来たんなら大丈夫だな。俺帰るわ」


松岡「本当すみません。ありがとうございました」


「ありがとうございました」


坂本「櫻井。暫く妹さんについてやれ。店に出るのは落ち着いてからで良いからな」


「はい」


俺達に手を振り、坂本店長はその場を去って行った。


松岡「………」


「………」


俺達はベンチに座り、会話の無いまま、ただずっと舞が出て来るのを待っていた。


………昌宏さんに漂う空気がいつもと違う…。
怒ってるの?


「あの…ありがとう来てくれて…」


松岡「悪かったな直ぐに来れなくて。バタバタして携帯触る時間無かったんだ」


前を見つめたまま昌宏さんは答えた。
そしてその横顔は…一切の笑顔も無かった。


「昌宏さん…」


舞の事を話そうと、手を握った瞬間手術室から舞が運ばれて来た。
すると昌宏さんはその手を振り払い立ち上がった。


看護士「まだ麻酔が効いてますので。こちらへどうぞ」


松岡「はい」


そのまま俺の前を、彼は看護士さんに着いて行った。
俺も慌ててその後に着いた。


舞の事…考えなきゃいけないのに…どうしよう。
心が…痛いよ。
昌宏さん…。


舞を失うのが…怖い。
支えて欲しいのに…側に居るのに…手を伸ばせば届くのに…その背中かが遠く感じた。

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