テキストサイズ

Starlight Kiss

第9章 tragic love②

「………」


松岡「………」


自宅に戻っても…俺達は会話も無く、ソファーに突っ伏していた。


結局、ここに泊まる予定だったのにホテルに泊まり、明日朝一で自宅に戻る事になってしまったお義母さん。


予想はしてたけど…やっぱり辛い。


「………これから…どうするの俺達…」


俺が口を開くと、昌宏さんは俺を見ないままネクタイを緩めた。


松岡「………分からない。お袋…頑固だからな…きっと簡単には許してくれないだろな」


「………」


松岡「………ごめんな」


「………ごめんて…どういう意味…」


胸がざわつく。


「………俺より…お母さんが大事なの?」


松岡「翔。そんな事言うな」


「だって…ごめんだなんて…昌宏さん…」


松岡「お袋は女手ひとつで俺を育ててくれた。朝から晩まで働いて…大学まで出してくれた。本当に感謝してる。たった1人の家族なんだ」


「………」


松岡「だから簡単にどっちが大事とか言うなよ」


「………でも俺は…」


松岡「じゃあお前は…俺が妹さんより大事か」


「それは…」


松岡「妹さんのが大事だろ。だから俺が反対してもホストの仕事やってるんだろ」


「昌宏さん…!その事まだ蒸し返すの!?」


松岡「蒸し返してる訳じゃない。お前が家族より自分を取れなんて言うからだろ。自分の事棚に上げて…」


「そんなんじゃない!ただ俺は…」


松岡「もういい。悪い、今日は1人になりたい。帰ってくれ」


「………昌宏さん…」


松岡「シャワー浴びてくる。上がる頃には…お前は帰ってる筈だから」


「昌宏さん…!」


昌宏さんは立ち上がり、リビングを出て行ってしまった。


「………ふっ、う…ひっく…ふぇ…昌宏さん…」


彼の背中にすがる事が出来ないまま、俺はその場に泣き崩れた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ