いつまでもここに居て
第9章 僕と君の幸福論[21]
深々とお辞儀をすると、お店へ走って行った。
突然ピタリと動きを止め後ろを振り返る。
「あっ!あの!相葉さん!」
「俺の名前…知ってたの?」
「いや、俺を描いている時大野さんの口から出ていたんです。そろそろ相葉さんの所へ行かなきゃって。」
「ああ、そうなんだ…。」
「大野さんにもそしてあなたにも感謝しています。特に大野さんには色んな景色を見せてもらったから。だから幸せという恩返しがしたかった。…結局大野さんはお気に召さなかったんですけど。」
「いーんだよ。そんなの人それぞれ。俺にとってはこのいい天気も幸せなんだよ。」
「…っ!そうなんですね!幸せって、こんな暖かいものなんですね。」
ニコリと笑うとまたお店へ駆け出した。
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櫻井さんが触っていた白い花をつんつんと触る。
ゆらゆら揺れて風も気持ち良い。
「今日もいい天気だなあ…」
真っ青な空を見上げ、深呼吸を一つする。
「よし!今日も頑張りますか!」
そう言って俺もお店へ駆け出した。