ねがい*ごと
第6章 優しい貴方
「おはようございます」
どんなに寝不足でも、なんとかいつもどおり出社できた。
「亜沙美ちゃん、みんなが来る前にちょっとお話があるんだけど」
「…はい、何でしょうか?」
まだ頭がうまく回らなかった。
でも奥さんはやたらとにこやかだ。社長もなんだか笑ってる。
ひょっとして、私何かやらかしたかな…?
なんだか緊張が走る。
「突然だけど、今お付き合いしてる人はいる?」
それは意外な問いかけだった。
「いえ、いませんけど…」
「そう!実は…亜沙美ちゃんを気に入っている人がいてね。前から相談を受けてたの」
「えっ…」
そのとき
廊下から足音がした。
「「おはようございます」」
「おはようございまーす!」
立て続けに社員が出社して来ると
奥さんの話はピタッと止まってしまった。