ねがい*ごと
第8章 願いがかなう時
6年後。
我が家は4人家族となっていた。
夕食後のリビングでは、優矢と2人の娘が遊んでいる。
私はみんなの声を聞きながら、キッチンで洗い物をしていた。
「はいパパどうぞ〜」
「いただきま〜す!モグモグ、パクパク。あ〜おいしかった!
ごちそうさまぁ」
仕事で疲れて帰った後も、一生懸命ままごとの相手をしてくれる
優矢に感謝だ。
すると5才の亜優(アユ)が膨れっ面をして言う。
「パパっ、もっとおいしそうな顔してくれなきゃだめじゃない!」
「え、」
「今度はあたしの作ったオムライス、食べてくださ〜い」
お次は4才の次女、
叶美(カナミ)の番だ。
「う、うん」
しばらくすると、決まって優矢が叫ぶ。
「お〜いママぁ、早く替わってくれ〜、俺もうだめだ〜!」
2人の娘にさんざん付き合わされて、完全にギブアップの優矢に、クスクス笑う私。
「はいはい、もうちょっとで終わるから待って〜」
こんな、いつもと変わらない夜の団らん風景。
再婚当初あれほど悩んでいたのがうそのように、私は平凡ながらも幸せな家庭を築いていたのだ。