おかずにトロトロあんかけ
第1章 幼なじみ + 変態
誘惑なんて表情とは違った心細く下がる眉毛。
そして外を見ながら眉をまた下げる。
今日はとくにかわいい。
なんの疑いも汚れもない目が次に俺に向けられる。
「へえ…珍しいね」
その目線から逃げるように少し下を向いた。
そのまま瞼を閉じれば、頭の中は苦しそうに善がるユウカが映し出される。
「…うん。ねぇ…ムツメちゃん、泊まる?…」
普通こういう台詞には艶っぽい表情がお決まりだ。
しかし誘惑する気もなく俺を男として認識していないユウカには、
艶っぽいなんて程遠い表情でその台詞を俺にかけた。
“俺と一緒に居たい。“
…からじゃなくさっきから何度も遠くで鳴る雷、それに加えて一人が怖いからだと、すぐに理解してしまう。理想とは違う悲しい現実を自分に突きつけては納得し、胸を締め付ける。
持ち上げられて落とされるよりまだマシだ、期待しなければ落胆もしない。
そう思っても朝まで一緒に居れるのは嬉しいし、好きな女と泊まりたくない訳がなかった。
“俺は一緒に居たい。“
だけど理性を保てない。
その時にはわかっていた事だった。