
DAYS
第39章 日々常 N×A
「え?ちょ、雅紀?」
さっきまでの酔いなんて、ぜーんぶ
ぶっ飛んだ。
だって雅紀が泣いてるんだもん。
慌てて背中を優しく摩ってみるけど、
さっきに増して嗚咽が激しくなった。
「ごめん、そんなに嫌だったー…」
「そんな訳、ないじゃんっ!」
真っ赤で潤んだ瞳を俺に向ける。
泣いてたとは思えない声の張り方に、
思わず体がびくっと跳ねた。
「嬉しい!」
「え?」
「和からそんな言葉、聞いたのいつか
もう覚えてないんだもん…。
だから、嬉しくてね…?」
あ、別に責めてる訳じゃないから!って
慌てて付け足してる。
分かってるよ、そんなの。
泣くほど喜んでくれた雅紀を見たら、
照れくさいよりも嬉しい気持ちがまさる。
遠くの方で、除夜の鐘の音が響く。
時計はもうすぐ、12時を指す。
「…今年もありがと。」
「うん。」
「これからも、ずっと…。」
「うん、一緒にいるからね。」
正面から抱きしめれば、嬉しそうに笑う。
その顔にゆっくりと顔を寄せれば、
触れ合う唇。
テレビから、新しい年を迎える声が聞こえる。
「今年もよろしくね。」
「うん。」
「だぁい好きだよ。」
やっぱり、俺はこの笑顔に弱いらしい。
今までも。これからも。
今年も、たくさんの幸せを
見つけられますように。
作りだせますように。
願わくば、ずっとずっと雅紀の隣で。
これが俺たちの日常。
-end-
