
襲われちゃう女の子
第1章 彼氏の友達
私をこの合コンに連れ込んだ張本人である健一は私以外の子からのアピールにでれでれと顔を緩ませていた。
確かに私たちの交際は内密になってるけどアンタの彼女は私なのよ!?馬鹿なの!?
「(帰ったら思いっきり殴ってやる……)」
私はその苛々と一緒に目の前のチューハイを煽った。
すると、
「つぐみちゃん、暇?」
そう声を掛けてきたのは私の隣に座っていた牧原くん。どうやら健一の友人らしい。
「え、何で?」
「静かだからさー。もしかして嫌々参加?」
「……分かっちゃう?」
「テンション的に」
ですよね、と私は肩を落とす。
牧原くんは「何か頼む?」とメニューを取ってくれて見せてくれた。少し近くなった距離に私の心は跳び跳ねる。
少し隣を盗み見るようにして牧原くんを拝む。健一の友達にしては格好いい。スラッとした高身長で顔も小さい。パーツ一つ一つも全部に綺麗だ。
健一の顔は少し情けない感じの子犬系。私はどちらかというと牧原くんの方がタイプだな。
なんちゃって。
「牧原くんって何で今日来たの?絶対彼女いるでしょ」
「え、いないよ?」
「そんな格好いいのに嘘だー」
あの健一にもいるんだぜ。
