
襲われちゃう女の子
第3章 家庭教師のアルバイト
廉くんのことは事前にお母さんからよく聞きていた。
頭がいいのでテストなどの点数がいいが、授業を真面目に受けないことが多くてサボってしまうことがよくあるらしい。そのために平常点がとてつもなく低いだとか。
だから私の使命は頭をよくする、というよりも廉くんに勉強に取り組んでもらうということの方が正しかった。
しかし予想以上に廉くんは捻くれた子で私の言葉なんか全然響かない。本当に困った。
全く進んでいない数学の問題集を見つめる。
他の生徒の子はこんなんじゃないんだけど。
これって私が来てる意味ないよね。
わざとらしくはぁと息を吐くと廉くんの視線が少しだけこちらを向いた。
そして様子を伺うように顔を覗き込むと、
「そんなに俺に勉強して欲しいの?」
「そうだよ……」
「……仕方ないなぁ」
「え!?」
彼が机に肘をつく。
「美奈子ちゃんがそこまで言うならしてもいいよ」
「ほ、本当!?」
「うん、でも俺がしたい勉強教えてよね」
「うん!まかせて!何でも教えるよ!」
「なんでも、ね?」
この言葉があんなことに繋がるなんて、私は知らなかった。
「で、何を教えて欲しいの?」
「うん?保健体育」
「……」
保健体育?
