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ペットではなく家族です。

第9章 クロ様の場合



朱美「この時間…3時限目か」


義父のせいで数駅も乗り越してしまい
完全に遅刻してしまった
今日も…


朱美「…やめよう」


体は重く怠いし
授業を受ける気になれず
こんな時にいつも寄る場所へ向かった
それは…


朱美「相変わらずホコリっぽくて暗いな
ここは…」


朱美が向かった場所
それは今は使われていない旧校舎

数年前に老朽化が原因で使われなくなり
今は物置代わりとして
使われている


朱美「はぁっ…」


旧校舎の保健室
そこが唯一の居場所だった

布団もシーツもホコリまみれで汚いけど
形だけの家族よりここの方が断然
過ごしやすかった


朱美「喉渇いた…お腹も空いたし」


一旦外に出て何か買おうかと思ったが
財布の中のお金を見て
気力が失せた

お金は十分にある

だけどこのお金は全て義父が稼いだお金
100円も50円も10円も
5円、1円も全て

朱美や朱美の母親が稼いだお金ではない
全て義父の手から渡された
義父のお金…


朱美「…っ」


お金に罪はない

結局、お金はお金でしかない
だけど…


朱美「…っ…気持ち悪…っうう…」


割り切れなかった


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