ペットではなく家族です。
第12章 亀吉の場合
愛莉「…」
男「すいません、乗ります」
愛莉「!!」
男「どうもありがとうございます」
愛莉「…いえ」
男「…」
ドアが閉まるギリギリ
エレベーターに乗って来た男
帽子を目深に被り顔はわからなかったが
見慣れない顔
単に初めて見るだけでマンション住人の
一人かもしれないが
どこか…
男「…」
愛莉「…っ」
どこか怪しげな男
エレベーターという密室が余計に
愛莉の恐怖心を煽り目的の階に到着する
と愛莉は一目散に飛び出し
部屋に入った
愛莉「ハァハァ…っ…」
息を整えながら鍵をかけようとした
まさにその時…
愛莉「…?」
男「…」
愛莉「な、何っ…」
男「…」
ドアを開けられ目の前には
さっきの男が…
男「…」
愛莉「…あ…っ…何かご用ですか」
男「…」
冷静に凛とした態度で男に接した愛莉
だけど男は一言も話さず
立ったまま…
男「…」
愛莉「…すいません」
ドアを閉めようと一歩、玄関から出た時
男は細く真っ白な手を伸ばし
愛莉の腕を掴んだ
愛莉「!!」
男「やっと…見つけた…」