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第25章 愛しき人

梶原は 呆然とした状態で くねった道路を1人歩いていた。

別居をし 仮住まいで借りていた アパートで 2日間 舞と過ごした。

何度も抱き合い セックスをした。

梶原の愛情 全てを捧げ 想いも伝えた。

しかし 舞を拉致して アパートに監禁したのだ。 舞の旦那が必死になって探し すぐに 俺は 警察に捕まるだろう。

そうなると もう2度と 舞とは逢えないだろうし 抱けないだろうとわかっていた。

全てを捨てても 舞と最後は交わり 自分だけのものにしたかった。

愛おしい舞… 愛おしい舞…

街灯も少ない 真っ暗な道路。

ここは 俺が 5年前に事故を起こして 死にかけた場所だ。

俺は あのまま死ねばよかったのか? そしたら 真弓にも 辛い思いをさせなかっただろう。

しかし あの時 生き返らないと 舞とは出逢わなかった。

でも こうなった今… 俺は1度 死に損なったこの場所に 帰らなければいけないんじゃないのか…

カーブを曲がりきれず 大破した車があった場所。

その眼下には 青黒く広がる海が見えた。


舞… 舞… また 生まれ変わっても お前を見つける。

お前を愛するよ…






そう言うと 梶原は 事故を起こしたカーブから 真下に広がる海に 身を投げた…






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