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覚醒

第1章 両親の寝室

 十畳の洋間。セミダブルベッドはツイン。サイドテーブル。その上には、シェードランプが置かれている。マガジンラック。アンティーク調のドレッサー。低めのTV台。

昔と変わらないその部屋に真実は、小さかった頃に思いを馳せる。

「昔は、よくママのベッドに潜り込んだわ…」

真実は、母のベッドにコロンと横たわる。ふとマガジンラックに目が留まった。

真実は、起き上がり、マガジンラックに置かれた雑誌を見た。父の趣味のスポーツ雑誌や、母のファッション雑誌が置かれている。

その中の一冊の雑誌から、グラビアのポスターみたいなものがはみ出していた。

真実には、それが何なのかをすぐには理解できなかったが、それを見た瞬間、ドキッとした。

クラスの男子達がゴミ置き場や、河原に棄ててあるのを拾って来ては、コソコソと隠れて読んでいるのを見たことがある。そう、それは成人向けの雑誌だ。

真実の鼓動が激しく鳴る。普段は優しくて爽やかな父が、こんないやらしいものに興味があるのかと思い、ショックを覚えた。

真実の父は、同級生の父親達と比較しても、若々しくてハンサムだ。180センチを越える長身で、細身ではあるが筋肉質。クラスの友達からも「カッコいい!」と評判が良く、真実にとっては自慢のパパだった。

「パパったら…」

真実は、父の裏の顔を覗き見て、複雑な心境になった。

しかし、そういう真実も、全く興味がない訳ではない。男子がふざけてエッチな雑誌を女子に見せて、その反応を楽しんでいるとき、真実も一応は嫌な顔を見せたりもするけれど、本心は真逆。そう、むしろ興味津々だったのだ。

真実は、そっとその雑誌の表紙を開く。

見開きからはみ出したポスターがパラリと広がった。
父が、慌てて表紙を閉じたせいか、きちんと折り畳まれずに、はみ出していたのだ。

そこには、赤い肌襦袢を纏い、透けるような白い肌の美しい女が、胸元を露にされ、荒縄で躰を縛り上げられている姿が写されていた。

女は、両手をまとめて頭上でくくられ、天井から吊るされている。

乳房は、上下を挟み込むように縛られ、ピンクの先端が膨れ、尖り、無理矢理に天を仰がされている。


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