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大野さんのバカ

第3章 3

Kazunari side

智「ああ…うん,そう
リンが描いて…俺も気付いてなかったんだけど
置いていってたみたいで…」

あっさりと,なんでもないことのように話す

まぁ…そうだろうね
あなたにとったら何でもないこと…
でも,それが人を傷つけるのに…

でも,今は俺のことはいいか…
ここで責め始めたら話が前に進まない

感情を抑えるために
頭をフル回転させた
冷静な判断ができないと困るから…

和「あのヒト,絵描く人なんだよね?」

なるべくゆっくりと言葉にする
焦れば感情が抑えられなくなるから

智「うん…もともと,絵や釣りで趣味が合ったから話すようになって…」

そんな話聞きたくない…
けど,落ち着け,俺…

和「じゃぁさ…個展の作品にも関わってるの?」

智「え?」

思いもよらない言葉だったのか
目をみはって俺の真意を探ってる

関わってないのかな…

そんな期待もよぎる

でも…

和「パグの絵…あれは…誰の犬?」

智「え…?」

和「作品集にあのヒトの名前らしきアナグラムがあるけど…あれは何?」

智「…アナグラム?…え??」

結局答えを聞く前に
次々と質問してしまった

何か喋っていないと
責めてしまいそうで

それに,答えを聞いてしまったら
そこですべてが終わってしまいそうで

怖い…

でもこれからの大野智に必要なコト

今は自分の感情に流されたらダメだ

何もわかってないこの人に

自分のしたことを思い知らせなきゃいけないから…

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