テキストサイズ

大野さんのバカ

第3章 3

Satoshi side

和「じゃぁさ…個展の作品にも関わってるの?」

全くの予想外の質問に一瞬思考が止まる

大きなキャンバスに描いた黒いパグ

俺の気に入ってる作品の1つでもある

あれは誰の犬かと聞かれて
話に思考を追いつかせようとしてるうちに

和「作品集にあのヒトの名前らしきアナグラムがある けど…あれは何?」

また質問が変わって思考が離される

真っ直ぐに見つめられて
最初から質問を思い返す

智「えっと…まず,リンは個展には関わってないよ
忙しかった時に家に来て,栄養あるよって
ご飯を作って貰ったことは…あるけど
でも個展そのものには関わってない」

こんなコト話したい訳じゃない

聞いてるニノも何かを堪えるように
唇を噛み締めて聞いている

それでも多分全てを話さなきゃ
俺達は前に進めないんだと思う

和「…そう
じゃあ…パグは?誰の犬なの?」

智「あのパグは知人の飼ってる犬で…
どうしても描きたくて1ヵ月くらい借りたんだ
ただ…どうしても世話に手が回らなくて
リンが来た時に世話してくれてたりしたけど」

そのパグがどうかしたのか,と問う俺に

和「あの犬を抱いてるあのヒトの写真があったから」

真実を見極めようとしてるのか
ずっと俺から視線をそらさないまま話す

智「その写真は見てないから正直わからない
でもあのパグがリンの犬じゃないことは確かだよ」

どうか信じて欲しい,と
俺も和也から視線をそらさずに話し続ける

ストーリーメニュー

TOPTOPへ