甘く、苦く
第67章 大宮【just a little】
…俺と智は、
最近になって
漸く付き合ったところだ。
智はもっと前から
俺のこと好きだったみたいだけど
俺はそんなの全然気付いてないし、
そういうの、興味なかったから。
「アンタ、いつまで寝てんの。」
収録前、智のふわふわの髪に
指を沈めた。
そんなことしても、
起きる気配なんてまるでなくって。
はああっと深い溜め息をついてから、
智の肩をゆらゆらと揺すぶってみた。
そうしたら、これは効果が
あったみたいだ。
「んぁ?おぉ、ニノ〜…」
「ちょっ、起きなさいよ。
なにくっついてんのよ。」
「んー、あったけぇ…」
…あぁ、もう。
だらしないんだから。
…でも惚れたのは事実だ。
こんなところも、
実は好きだったりするんだぜ?
「おふたりさんあついねえ。
俺らはお先に〜」
「潤くんっ!」
俺たちのことを茶化して、
足早に楽屋を出た潤くん。
火照る頬を押さえて、
智の頬を向いたら、
智がむふふって笑ってた。
「…なに笑ってんのよ…。」
「んふふ、ニノが慌てて
可愛いなあって思っただけだよ」
「…ていうかアンタ、
起きてたでしょ?」
「あ、気付いてた?」
「そりゃあ、わかりやすく
半目で寝てるもんだからね。
誰でも気付くよ、ふつー」
ニノに起こしてもらいたかったんだもん、
なんて可愛らしいことを言ってくれた。
…はいはい。