
甘く、苦く
第67章 大宮【just a little】
俺がニヤニヤしてたら、
「キモい」って
真顔で言われた。
…恋人にキモいはないでしょ。
キモいは。
ぶーっと唇を尖らせたら
「アンタ今何歳よ」
って呆れた声で言われた。
「さっ、さんじゅ──…」
「本気にしなくていいから。
それより、早く歩いてよ!
もう始まっちゃうでしょ」
ニノが俺の手をグイグイ引っ張る。
…ふふ、
あったけえなぁ。
またひとりでニヤニヤしてると
ニノは
「ほんとアンタ、
俺のこと好きだよね。」
って言ってきた。
…あったりめえじゃん。
好きじゃなかったら、
付き合ってねえよ。
お前のこと好きだから、
俺はこんなに
お前と一緒にいるんだからな?
「…んふふ、俺、ニノのことちょー好き」
「っ…バーカ」
「えっ、なんで?
ひどくね?
俺、ニノのこと一番好きだよ。
ニノもでしょ?」
「しっ、知らない!」
俺から手を離して、
たたたっと駆けていってしまった。
…照れ隠しってやつか。
んふふ、可愛いヤツめ。
俺がついたとき、
ニノは相葉ちゃんの隣で
楽しそうに話してて。
やっぱり、モヤモヤした。
