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甘く、苦く

第16章 磁石【ウソつき】




「ん……」



やべ、頭痛い…


最悪…
冷えたのかな……

ぼーっとするし、熱い。

風邪……引いたのかな……


仕事は休めない。


「ごほっ…」

喉、痛い……


今日はレコーディングあるのに……



「おはよ…」
「あ、翔ちゃん遅かったねー!」

リーダーが松潤と話をしていた。

なんだろう。


もやもやする。



二人の仲良さげな雰囲気も、ニノと相葉くんも。

全部、全部……




「…うちゃん?」

気付いたらリーダーの顔が真っ正面にあった。

「わっ、ごめん。んっんん、」

喉の調子が悪い。

だめだ、仕事は休めないぞ。櫻井翔。


「ね、大丈夫?顔、赤いよ。」
「あ…うん、大丈夫だよ。ありがと、リーダ…ごほっ、ごほっ…」

俺が咳き込んだのを心配して、松潤が
のど飴をくれた。

「喉の調子、悪い…?
これ、効くからなめときな。」
「うん、ありがとう。」

やっぱり、みんな優しいな。



「おはよーございまぁす。」
「おはよー!」

呑気な顔してやってきた相葉くんとニノ。

ニノは「翔さんおはよう」って言ってくれたけど顔は見てくれなかった。


楽屋ではニノと相葉くん、ベッタリ。


しらない。

こんな気持ち、知らなくていいんだ。

だから、気付かないで、俺…


「嵐さーん、お願いしまーす!」

スタッフさんが入ってきた。

みんながさっさと歩いていった。

俺も立たなきゃって思ってるのに、立てなくて、

「翔ちゃん?」

リーダーが心配して駆け付けてくれた。

「ごめん、今、行く…」







無理しすぎたかも…


俺は倒れてしまった。

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