テキストサイズ

甘く、苦く

第16章 磁石【ウソつき】










頭にひやっとした感覚で俺は目を覚ました。



ここは…?


俺は、倒れたんだ。



あぁ、みんなに迷惑かけた。

みんなの呆れてる顔が浮かぶ。

今ごろ、みんなが俺の悪口言ってたら…


嫌なことしか思い浮かばなかった。


「あ、櫻井さん、起きたんですね。」

にこっと男の人は笑った。

「あの…ここは?」
「あ、ここは病院ですよ。
倒れたんですよ。
さっきまで、二宮さんが心配して付き添っててくれたんですよ。」

男の人、看護師さんが優しく、ふわりと笑った。



ニノが……?



なんで……?






「あの、仕事…」
「あ、嵐さんから要望で、少しの間休んでてください、てことになってます
では、なにかわからないことがありましたら、ナースコールを。」

そう言って、看護師さんはでていった。


最悪だ…




こんなの、望んでない。


てゆーか、ニノが?

なんで?


「あれ?ここ…」

俺のベットのシーツは一部分だけ、不自然に濡れていた。


俺…泣いてた?

いやいや、ここは腕の辺りだから、違う。


まさか……ニノが……泣いてくれた?


んなわけないか。


俺は置いてあるペットボトルの水を口に含み、また、眠りについた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ