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甘く、苦く

第68章 櫻葉【snow flake】






「俺の誕生日、昨日だったけど
ほんとにいいの?」

「うん、仕方ないじゃん?」

「んっふふ、翔さん、大好き」

素直に伝えてくれる雅紀が
俺は好きだ。

にこって笑った時の顔も
ちょっと男らしい顔も。

全部好き。


「…夜更かし、しよっか」

「んふふ、いいよ
翔さんがしたいんだもんね?」

「…ぅん、」

「肩と腰はもういいの?」

「…微妙かな……」

ぷっと頬を膨らませて
雅紀を見たら。

「なにそれ。可愛い。」

「雅紀が最近帰るの遅いから
寂しかったりするんだよ…?

…早く帰ってきてよ、もう…」

「ごめんごめん。
でももう冬休み入ったし…
ゆっくりできるね…んふふ。」

「まぁーた変な事考えてるんでしょ。
変態。アホ。」


雅紀が俺の頭をぐっと引き寄せて、
胸に押し付けた。

「…大好き、ほんとに。」

「うん、俺も──…」


こんなふうに見つめあって、
素直な気持ちをぶつけるのは
ひさしぶりだ。

お互い忙しくて、
すぐに寝ちゃうから。

今日は。今日だけは。


もうちょっとだけ
素直になってあげる。


だって、誕生日だもんね。


ー終わりー

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