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甘く、苦く

第68章 櫻葉【snow flake】

櫻井side



まだ意識がふわふわしてる。

お風呂を上がっても、
なにをしていても。

あのことが頭を過ぎって、
集中出来なくて。


「…ね、雅紀…」

「ん?」

「もう、帰っちゃうの…?」

「…んー、じきにね」

「そっか…」

「…もー」


ギュッと俺に抱き付いてきた
雅紀を受け止めて。

また視線を絡ませて。


「ちょっとだけだよ。
またすぐ帰ってくるから…ね?

そうだ。実家に行くし、
なんかお土産買ってくるね」

「…やだ。」

「えー」

「そんなのより、今は雅紀と
いたいんだよ…」


素直に口に出せば、
雅紀の顔が赤くなる。

俺の火照った頬が
雅紀の手に包み込まれて。

ちゅ…と短いリップ音が響いたあと、
雅紀は俺の手を取り、
寝室へと向かったんだ。


「…まさ、き……?」

「…ね、翔さん…?」

「っ、…うん、」


だけど今日は。今日はね…?

「…クリスマスだから、特別だよ…?
…いつもだったらだめだけど…」

「ん、ありがと。」


短いキスを終えて、
ふたりで見つめあって。

ふふって笑ってから、
また、キスをして。

そんなことを繰り返してた。

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