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甘く、苦く

第72章 櫻葉【チカヅキタイ】






「あ、そーいや」

「ん?」

「今頃だけど、これ…」


首にかけてるシルバーのネックレスを
指で弄る。


「雅紀が、買ってくれたんだ?」

「…あ、うん。そうだよ。
それでいつも帰り遅くて…」

「…そっかぁ。
そうゆうことかぁ。
ありがとう」

「ううん、誕生日なんだし…
なんかしたかったから、」

「ふふ…俺は雅紀がいてくれれば
それでいーんだけど?」

「んふふ…」

「ね、雅紀、今日の夜はさすがに…」

「え?ホテルにでも行く?」

「へっ!?違う!
逆だよ!真逆!!」

「なーんで?」


くりくりの瞳に見つめられて
きゅんっときた。


「だっ、て…もうさっき、
散々シたじゃん…」

「うん。シたねぇ…」

「だから…今日はもう…」

「なんで?翔ちゃんの誕生日なんだもん。
え〜、翔ちゃん、俺といない間
ひとりでしてたくせに〜…」

「なっ、なんでそれ知って──…」

「んふふ、ゴミ箱♡」

「…っ!」


ぐっと
言葉 詰まってしまった翔ちゃん。


「ねぇ、だめー?」

「っ…もう、仕方ないなぁ…」


…少しだけ、近付けた。

でもまた離れる。

そしたらまた近付けばいい。

もう、離れないように…


「翔ちゃん、夜なに食べる?」

「さっきパン食ったばっから
なんもいらねぇ」

「んふふ、それもそうだねぇ。」



こんなふうに。

ふたりで笑いあったりする時間が
すごい大切で。


愛し愛されて、生きていく。



ー終わりー

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