甘く、苦く
第73章 磁石 【move on now】session 5
櫻井side
「んじゃ、いってくる」
「うん、いってらっしゃい」
二宮との生活も、随分慣れたものだ。
今でも発見することはよくある。
細かい癖や、
コーヒーはあまり好きじゃないとか。
そんな些細なことだけど、
知れてよかったと思う。
見慣れた景色。
履き慣れた靴。
空にちらほらと舞う雪。
全てが特別に見える。
カバンに入ってる
二宮お手製の弁当だって。
全部全部、俺の活力源。
「やっほ、翔ちゃんっ」
「…あー、はよ」
「なんだよぅ。元気ないなぁ。」
「そりゃ…お前に殺されかけたし。」
「んっふふ、殺せないって。
そんなことしたら、
アンタの嫁さん悲しがるでしょ?」
だからできないって。
なんて、殺そうとしてたくせに
なに言ってんだか。
「んじゃ俺、こっちだから」
「んー、」
またねーって雅紀はぶんぶんと
手が千切れそうなくらい振っていた。
…雅紀らしい。
そんなふうに思った。
殺されかけたのに、
不思議と避けることも
無視することも出来ないんだ。
…いや、別に……。
許せないとか、思えない。
だって今、二宮は俺の隣に、
すぐ傍にいてくれるんだから。
それだけで十分なんだ。
「んじゃ、いってくる」
「うん、いってらっしゃい」
二宮との生活も、随分慣れたものだ。
今でも発見することはよくある。
細かい癖や、
コーヒーはあまり好きじゃないとか。
そんな些細なことだけど、
知れてよかったと思う。
見慣れた景色。
履き慣れた靴。
空にちらほらと舞う雪。
全てが特別に見える。
カバンに入ってる
二宮お手製の弁当だって。
全部全部、俺の活力源。
「やっほ、翔ちゃんっ」
「…あー、はよ」
「なんだよぅ。元気ないなぁ。」
「そりゃ…お前に殺されかけたし。」
「んっふふ、殺せないって。
そんなことしたら、
アンタの嫁さん悲しがるでしょ?」
だからできないって。
なんて、殺そうとしてたくせに
なに言ってんだか。
「んじゃ俺、こっちだから」
「んー、」
またねーって雅紀はぶんぶんと
手が千切れそうなくらい振っていた。
…雅紀らしい。
そんなふうに思った。
殺されかけたのに、
不思議と避けることも
無視することも出来ないんだ。
…いや、別に……。
許せないとか、思えない。
だって今、二宮は俺の隣に、
すぐ傍にいてくれるんだから。
それだけで十分なんだ。