テキストサイズ

甘く、苦く

第74章 お山【miss your voice.】session 1

大野side



「~♪」


…惚れた。

完全に堕ちた。

聞いた瞬間に、背筋がゾワッとして
こんなにも胸が高鳴るなんて──…。













「…ーの。おーの…大野!」


突如聞こえた声に焦りながらも
上を見上げた。


「…さーせん。」

「さーせんじゃない!
君はもう受験生なんだからな!
自覚が足りん!」

「すんませ──…」

「最初から謝るんだったら
もっとシャキッとしろ!

姿勢も身なりも!」


…身なり関係なくね?

なんて思いながら、
緩めたネクタイをぴしっとつけた。


教担がいなくなったところで、
ふう、と溜め息。


…怠いんだよ。

授業とかどーでもいいし。


…あーあ。
帰りてぇなぁ。


寝たら怒られるだろうから、
授業を聞いてるフリして
ノートの隅にずっと絵を描いていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ