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「ね、今日くらい一緒に帰ろうよー」

ニノが雅紀にしたみたいに
上目遣いで俺を見てくる。

「え、あの…」

「智なんかおかしいよ、最近。
ひとりで話してるしさー」

「…は？ひとりでなんて…
話してない、けど…。｣

「んぅ？嘘だぁ。
放課後なんか隣のクラスで
ひとりで喋ってるじゃんかぁ。」

「え、いやいや、
そんなことないって。」


…秘密、だから。

翔くんとの関係は、
秘密なんだ。

誰にもバレちゃいけない。

それが翔くんとの約束だから。


「勘違いだよ、きっと。」

「んー、それならいいけどさぁ。
…俺疲れてんのかなー」


ニノがふーっと溜め息ついて
俺に窺うような視線を送る。

雅紀はなんの話か理解してないから
頭にはてなマークが浮かんでいた。


「とにかくさぁ、
今日くらい一緒に帰ろーよ。
雅紀だけじゃ
つまんないんだって。」

「んなっ、失礼だなっ」

「だってほんとのことだし。」


目の前で繰り広げられる
夫婦漫才を見ながら、
俺はひとり、頬を緩めていた。