甘く、苦く
第75章 櫻葉【ANSWER.】
翔 side
これが恋心だと気付いたのは、
いつごろだっただろうか。
「兄貴に挨拶なしで
今日も登校しやがって…」
バスケ部の、新エース。
そう呼ばれてるくらい、
俺の弟、雅紀はすごかった。
だからといって、
文武両道ではない。
俺は、部活も、勉強も、すべて。
すべて完璧だったのに。
どうしていつも俺は、
報われないのだろうか。
いつも、弟にすべて奪われて、
妬む回数の方が多くなった。
時たま、頭を悩ませることだってあった。
俺はどうしたら、
雅紀より上に行けるか。
どうしたら、どうしたら…。
「翔は朝練行かなくて
平気なの?」
「ヘーキヘーキ…」
「本当に?
雅紀はいつも朝早いわよ?」
「…ヘーキだっつの。」
雅紀は。
雅紀なら。
…俺は、雅紀じゃない。
雅紀と違って、
あんなお気楽ものじゃない。
…もっとみんな、
俺を見てくれ。
雅紀じゃなくて、俺を───
これが恋心だと気付いたのは、
いつごろだっただろうか。
「兄貴に挨拶なしで
今日も登校しやがって…」
バスケ部の、新エース。
そう呼ばれてるくらい、
俺の弟、雅紀はすごかった。
だからといって、
文武両道ではない。
俺は、部活も、勉強も、すべて。
すべて完璧だったのに。
どうしていつも俺は、
報われないのだろうか。
いつも、弟にすべて奪われて、
妬む回数の方が多くなった。
時たま、頭を悩ませることだってあった。
俺はどうしたら、
雅紀より上に行けるか。
どうしたら、どうしたら…。
「翔は朝練行かなくて
平気なの?」
「ヘーキヘーキ…」
「本当に?
雅紀はいつも朝早いわよ?」
「…ヘーキだっつの。」
雅紀は。
雅紀なら。
…俺は、雅紀じゃない。
雅紀と違って、
あんなお気楽ものじゃない。
…もっとみんな、
俺を見てくれ。
雅紀じゃなくて、俺を───