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甘く、苦く

第76章 末ズ【Please Kiss Me.】






「ふーっ…」


お風呂自体には浸かってないけど、
広かったし心地よかった。

シャワーの水圧も
ちょうどよかったし。


るんるん気分で
スリッパをぱたぱた鳴らしながら
リビングへ戻れば。


「…わ、すごい…」


テーブルに並べられた
色とりどりのおかず。

…朝からこんなにオシャレで、
ほんとどっから出てくるんだろう…。


「食べよっか。」

「うん。」


潤くんに促され、
イスに腰掛ける。

目の前で色鮮やかなそれらを
見ていると、
いつも朝食を抜いている俺でも
食べたくなるような気持ちになる。


「わ、この卵焼き、
どうやったらこんなに
ふわふわになるの?」

「ん?わかんないなぁ。
いつもやってるから、
意識してないや。」

「えー、なんか特別なこと
してるんじゃないのー?」

「んー、どうだろ?
強いて言うなら、
牛乳をちょっとだけいれてるよ。」

「…ふぅん。牛乳かぁ…」


Jrの頃は背が伸びたくて
毎日飲んでたけど、
今じゃそんなことしてない。


「ん、ていうか潤くん、
こんなに料理上手だったけぇ?」

「ふふ、どうだろ。
ちょっとは腕上がったかな。」

「うん、すごい美味しい。」


白身魚を箸でつつきながら
潤くんに向かって微笑んだら、
潤くんもにこりと笑顔を返してくれた。

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