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甘く、苦く

第78章 にのあい【Shine.】

相葉side



この季節を待っていた。



誰よりも天邪鬼で、
誰よりも魅力的で、
誰よりも愛らしい、

俺の恋人の誕生日だ。


恋人としてなにをしたらいいか。

毎年毎年これを考えている。
でも今年はもう、決まっている。

だって、誕生日。
本当は特別なことをしたい。

────だけど。

ニノはきっと、俺といるだけで
笑顔になってくれる。

特別なこともしたいけれど、
それは後々考えるとする。

とりあえず、不自然にならないように
俺はこの日を過ごすことにする。


「相葉さん、おはよう。」

「おはよう。朝ご飯できてるよ。」


いつも通り、ニノに微笑み
ご飯の準備をする。

生憎今日は、
ニノが午前に仕事が入っている。

誕生日くらい、休めばいいのに。って
言ったけど、「楽しいからいい。」なんて
柄じゃないこと言っちゃってさ。

ニノが今の撮影現場楽しいのも知ってるし、
頑張ってるのもわかってる。

だけども、誕生日くらいは
休んでほしいじゃん?

……俺もいるんだし。

ニノん家で一人寂しく
なにしてろっていうのさ。


「じゃあ、相葉さん、行ってくるね。」

「うん、気を付けてね。」

「うん。」


いつもより、
優しい声のニノ。

……誕生日効果?

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