甘く、苦く
第78章 にのあい【Shine.】
「あれっ?ニノ?」
惚けたような声を出して
ソファーに座る俺の隣に腰掛ける。
「どうしたの?そんな顔して。」
「…別になんでもないよ。」
「嘘だぁ。なんかあるって顔してるよ。」
…やっぱり、
相葉さんはなんでもお見通しなんだ。
ぐっと下唇を噛んで、
俯くままの俺に見兼ねてか、
「ニノ」
ちょっと乱暴な声で、そう呼ばれた。
内心ビクビクしながら
相葉さんの方を見たら
「ごめん」
だなんて。
相葉さんは、なにも悪くないのに。
悪いのは、俺が素直じゃないからなのに。
「…あの、相葉さんのせいじゃ───」
「もう、まーくん、
って呼んでくれないの?」
…あぁ、もう。
調子狂うな、ほんと。
「…まーくんが、朝起きたらいないから、
寂しかった…です。」
「あ、そっか。ごめんね。」
よしよしって頭を撫でられて
思わず目頭が熱くなる。
俺が素直じゃないからなのに。
もう、この人はどれだけ俺のことを
好きにさせるつもりなんだろうか。
「……ん、ありがと。」
「ん?どうしたの?」
「…なんでもないよ。」
「えー、気になるー」
「(これからは誕生日以外も
素直になろうかな…。)
ふふ、ほんとになんでもない。
まーくん大好き♡」
「ちょ、え、ニノぉ…」
「え、もう、泣かないでよ笑」
ー終わりー