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甘く、苦く

第79章 櫻葉【glow.】

櫻井side



見るからに疲れている雅紀。

どうしたら癒せるか、なんて
俺にはよくわからなくて。

恋人失格だな、なんて悩んだり、
特別なことをしなくても俺といるだけで、
だなんて自惚れてみたり。

でもやっぱり、
特別なことをしたかったんだ。

だって、雅紀だし。


「夜景を見に行こう。」


なんて、
柄にもないこと言っちゃってさ。

雅紀はびっくりして惚けたような顔して
「急にどうしたの?」なんて
笑い飛ばしてしまった。

…ずるい。

俺が悩んでる時は、
雅紀が俺の話聞いてくれるのに
雅紀が悩んでる時は俺、何も出来てない。

だから雅紀に

「やっぱり夜景見に行こう。」

って言われた時はすげぇ嬉しかった。


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「雅紀はもっと俺に、頼っていいんだよ。
……てか頼れよ 笑」


俺の肩に凭れる雅紀に向けて
小さな声で言ってみた。

そしたら、雅紀の頭がもぞもぞ動いて
潤んだ瞳と目が合った。


「…しょ、ちゃん……」

「ん?」

「嬉し、くてっ…」


泣きながら「ありがとう。」だなんて。

俺は、雅紀以外に、
こんなに優しくなんてなれない。

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