甘く、苦く
第79章 櫻葉【glow.】
些細な変化も、雅紀ならすぐ気付く。
だって、雅紀だから。
俺の好きな人だから。
「俺には甘えて欲しい」
とか
「弱いところを見せて欲しい」
とか。
欲だらけの俺。
「…しょーちゃん……?」
潤む瞳と目が合って、
思わず欲が零れそうになる。
「ん?」
平常心を保ってやっと出た声も、
少し上擦っている。
「ちょっと、寒い、かも…」
なんて言いつつ、
俺のすぐ隣に擦り寄ってきた。
遠慮がちに、俺の腰に手が回る。
「………今日連れていてくれて、
ほんとありがと。」
ダイレクトに響く声に、
焦りながらも隣を見れば
「……やっぱ大好き。」
ぎゅ、と俺に抱き着いてきた。
戸惑いながらも俺も抱き締め返すと
「…ふふ、しょーちゃんの匂いだぁ」
なんて、そんな声。
この小悪魔は
…どこまで俺を好きにさせるんだろう。