甘く、苦く
第79章 櫻葉【glow.】
それからは、うろ覚えだ。
気付いたらもう、翔ちゃんはいなくて、
部屋でぽつんとしてた。
寂しくなって、悲しくなって、
翔ちゃんの名前を呼んだ。
…返ってくるはずないけど。
翔ちゃんの声が、笑顔が、全てが、
俺にとってはすごい重要で
素の俺でいられる唯一のものなのに。
『寂しくなったら連絡して。』
って言ってくれたけど、
こんな時間だし迷惑…だよね。
ちらりと時計を見れば、
もう1時。
次のことを考えるのも
面倒だけど。
翔ちゃんに会える、ってそれだけで
俺は嬉しくなっちゃうヤツだから。
…単細胞?…ふふ。
「…あ、もしもし?翔ちゃん───?」
だって、翔ちゃんのこと好きなんだもん。
ー終わりー