
甘く、苦く
第80章 にのあい【愛 think so.】
それから二日後。
いつも通りの慌ただしい日々がまた始まった。
「まーくん起きてーっ」
寝室に行って、
まだ眠たそうなまーくんを起こす。
昨日、なんか必死に調べてたもんね。
本なんか読んじゃってさ、
全然似合ってなくて、笑ったら拗ねたりして。
そんな子供っぽいとこも、
ふたりの夜だけに魅せる男らしいとこも。
俺だけのものだって、あの日の夜に
約束してくれたんだ。
だってそうじゃないと、
俺が嫉妬でどうにかなりそうだから。
『ずっと俺はニノだけのもの。
だからニノも、俺だけ。』
ふわり、と俺の一番大好きな笑顔で
そう言ってくれた時は、
嬉しくて泣きそうになった。
でも泣いたら、困らせちゃうから。
頑張って堪えたんだよ。
「ほら、まーくん、遅れるよー」
ゆさゆさと体を揺さぶると、
まーくんの腕と足に体をとられて。
「っわわ、」
まーくんの下敷きにされて、
うーんうーんって唸っていたら、
ぎゅーって痛いくらいに抱き締められた。
「ニノおぉ…」
「もー、なに。」
「んー…ふふー」
うっすら目を開けたまーくんの瞳は
ちゃんと俺が映っていて。
「おぉーはよぉー…」
「ふふ、おはよ。」
ぎゅっと抱き締められたまま、
身動きが取れずにいると
「…ちゅーしたい…」
って、頭上から聞こえて。
なにいってんの、って
言おうと思って上を向いたら。
頭をがっちり固定されて
まーくんの舌が思いっきり入ってきた。
「んぅ…っ」
…朝から、これは……。
キスの合間に漏れる吐息が、
めちゃくちゃエロくて。
…やば…
口の端から涎が流れ落ちるのを自覚して
幸せだな、なんて片隅で思いながら
まーくんの背中に腕を回した。
「…ふふ、ニノかわい。」
「ぁっ、」
「ちょっ、エロい声出さいでよ笑笑」
「まっ、まーくんのせいっ…!」
そう?なんて首を傾げて、
また布団に包まれた。
「もーちょっとだけ、ね?」
「っ、んもぅ、バカーっ!」
…口では素直になれないけど、
ほんとは嬉しいんだよ。
まーくんならわかっちゃうよね。
ー終わりー
