
甘く、苦く
第82章 末ズ【Omens of love.】
啄むようなキスを何度かされた。
終わったあとには、必ず
「好きだよ、和…」
なんて、真っ赤な顔して言うんだ。
耳まで真っ赤にさせちゃって、
こっちまで恥ずかしくなるっつうの。
「…潤くん、早く…」
自分から誘うなんて、
滅多にないのに。
…やっぱり、最近、会えてなかったし、
顔見ただけでぞわぞわする。
早く欲しいって体が言っちゃってる。
「…ぁ、」
気付けば、
俺は潤くんにされるがままだった。
いつもと変わらないはずなのに、
いつもより長く感じる前戯。
「…ぅん、んんっ…ぁ、」
「声、我慢しなくてもいいからね。」
そっと手のひらを重ねられて、
力が抜けてしまう。
温かくて、大きい手。
俺の手をすっぽりと包み込んでしまう。
握られたときに、包み込まれてる気がする。
…今だけ、手がちっちゃくてよかったなんて。
