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甘く、苦く

第84章 櫻葉【Kissからはじめよう】


相葉side


覚えてないのか。昨日のことを。

急に聞かれたりしたら、
焦るじゃん?


「じゃあ、ありがとな。
お互い頑張ろな。」

「うん、また飲も。」


翔ちゃんはお昼からの仕事らしい。

俺は夜から仕事だったから、
翔ちゃんを家に送ってあげた。


「っあ、そうか。」


何か思い出したように、
宙を見つめて呟いた。


「忘れ物?」

「いや…思い出しただけ。」

「へ?」


昨日の夜のこと、とかだったら、
俺気まずいんだけど。


「…何でもないよ。」


俯いて、それ以外何も
喋らなくなってしまった。


「き、昨日のこととか…?」

「え…?」

「あっ、ちが、……ごめん」

「は?」


口が、滑った。

どうして俺はこんなにも、
ウソが下手くそなんだろうか。


「…え、雅紀、なに?」

「……あの、えと…ごめん、
昨日の夜のことで…」


あぁ、もう誤魔化せないよ…。

ここまで来ちゃったら、
引き返せないし…。

うまい言い訳も見つからない。


「酔ってる翔ちゃん、から…
キス、された…」


「……は?」



ワンテンポ遅れて、
翔ちゃんが反応した。

…うん、
そりゃ驚くよね。

俺だって驚いたし。

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