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甘く、苦く

第84章 櫻葉【Kissからはじめよう】




忙しそうな朝の生活音。


洗濯機を回す音。

水が流れる音。

シャワーの音。

ドライヤーの音。

ぱちぱちと何かが焼ける音。


「……あ、翔ちゃん起きたぁ?」


朝から元気なヤツだ。

俺を見てニコニコと微笑む。

忙しい朝に、
俺の分までご飯を作ってくれたり。


「…ありがと、」

「ん?どういたしまして〜」


雅紀の態度がいつもと違う気がするのは、
気のせいじゃない。

なんだか、よそよそしいというか。
…嫌われた?



「…なぁ、」

「っ、な、なに?」


やっぱり。

何か隠していることがあるのか…?


それとも、

俺が昨日酔った勢いで
何かをしてしまったのか…?


「昨日さ、俺、雅紀になんかしたかな。」

「えっ…?」


目を真ん丸くして、
俺をじっと見つめた。


「…いや、何か気になっただけだから、
あんま気にしないでっ」

「あ、う、うんっ、平気だよ。」


…勘違い?

何かしてしまったかと思ったんだけど、
そんなことない?

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