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甘く、苦く

第84章 櫻葉【Kissからはじめよう】




視線がどうしても翔ちゃんの唇に
いってしまうのは、今からじゃない。

もともと、綺麗な形してるなーとは
よく思ってたし。

…あぁ、ダメだ。
こんな事考えてたら
まともに運転できないよ。


…全部全部、酔った翔ちゃんのせい。

俺、こんなにドキドキしてるのに。
いつもと全く
変わらない笑みを浮かべるのは卑怯だ。


「…そろそろだね。」

「うん。」


って、俺はなんでこんなに
残念みたいな声出してるんだ。

平常心、平常心…。


「…んじゃ、またな。」

「うん、ばいばーい!」


できるだけ、笑顔で。

いつもと同じ雰囲気で。


意識する度、空回り。

結局上擦った声が出てしまう。
ダサいなぁ、俺。


……あれ?

俺、気付いたら翔ちゃんのことばっか
考えてない?

え、気持ち悪。

どうした俺。

…え?

認めたくないけど、
もしかしたら俺…


「……好き…?」


口に出した途端、
熱くなった顔。

…違う。
ちょっと、気になってるだけじゃん?

昨日の余韻だ、うん。

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