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甘く、苦く

第84章 櫻葉【Kissからはじめよう】




そうだ。
翔ちゃんを惚れさせればいいんだ。

俺が翔ちゃんに惚れさせられたみたいに、
俺だって…翔ちゃんを惚れさせたい。





…とは思ったけど。

実際翔ちゃんを前にすると、
なかなかできない。


翔ちゃんはキスのこと、
もう忘れちゃったのかな。


「…翔ちゃん、」

「ん?」

「…キスしたの、覚えてる?」

「ぶっ、…どうした急に。
まだ根に持ってんの?」

「…んーん、違くて…
なんか俺…翔ちゃんとキスしてから…」


翔ちゃんのこと以外、
考えられないんだ。

何も手がつかないくらい、
考えちゃうんだ。


「…なんか、おかしい…」

「……え?」


また、キスしたい。
翔ちゃんが好き。

溢れ出した想いが止まらず。


「…ねぇ、キスしたい…」


思わず、言ってしまった。


「っあ、ごめん…なんでも、ない。」


…やっちゃった…

あぁ、ダメだ。


「ごめんっ、俺ちょっと…」

「待てよ。」


席を立とうとしたら、
ぐいっと腕を掴まれて。


「…へ?」


真っ直ぐに見つめられて、
腕は掴まれたままだ。


「……キス、したいんだろ。」

「はっ、え、ぁ?」


ぐうっと近付く距離。

重なった唇。

熱い、熱い手。



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