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甘く、苦く

第84章 櫻葉【Kissからはじめよう】




ぽっと自分の顔が赤くなるのがわかった。

翔ちゃんの唇に、
魅了されているんだ。俺。


「…ぅ、んん、」


ちゅ、ちゅ、

と何度もキスされる。

俺のことなんて無視した荒いキス。


「っ、…は、ぁ…」


唇が離れてから、息を整えるまで。

翔ちゃんの顔を見られなかった。
…だって、俺…

自分から「キスしたい」とか。

そんな恥ずかしいこと言った挙句に、
ほんとにキスされるなんて
思ってなかったし。

笑い飛ばされると思ってたから。



「……俺たちさ、」


翔ちゃんの低い声が、
耳元で響いた。


「…うん、」

「相性、いいと思わねぇ?」

「……うん…」


だから、って
翔ちゃんが続ける。

次の言葉を待っているのに、
なかなか言ってくれない。


「…俺たちさ、あの…」

「うん、」

「付き合わねぇ?」


照れ臭そうに髪の毛を触って、
いつもと変わらない笑みを浮かべた。


「……うんっ、付き合おっ…」


俺が、ずっとずっと望んでいた言葉。

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