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甘く、苦く

第85章 大宮【スフレ】


大野side


それは突然で、偶然なんかではなかった。


「ねぇ、」


返事を返さないで
ごろごろとベッドに寝転がる。


「…おい、」

しつこくなってきたから、

「なんだよー」

とスマホから目を離して
和に顔を向けた。



「…ふたりきりでベッドの上、って、
お前なんも思わねーの?」

「はぁ?」


何を言い出すかと思ったら、
なんだよいきなり。


「…もっと、こう…動揺しろよ!」

「はあああ?」


さすがに、意味がわからない。

意味のわからないことを言うのは、
俺の幼馴染、二宮。


「なぁに、和。ホモなの?」

「そーじゃなくてっ!
そういうんじゃなくて俺だって
男なんだって話!」

「だからなんだっていうの。
うるさいなぁ…」

「俺のベッドの上で、
そんなふうにされてたら…」


急に顔を赤くして、黙ってしまう。


「あーもう、いいから、どけっ」

「はあ?」


げしっと蹴られて、ベッドから落っこちた。


「なんだよー、俺とお前の仲だろ〜」


ベッドの上の和に抱きつけば、
耳まで真っ赤にして、

「お前のそういうのがダメなんだって!」

と。

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