甘く、苦く
第85章 大宮【スフレ】
なんも思わないし。
てかなに?なんなの?
今日は話があるって言うから、
会社帰りに来てあげたっていうのにさ。
さては俺のこと暇人だと思ってるな?
「もー、なんなの?」
あー、自分勝手なところ、
ほんと変わんないなぁ。
俺が和の上に乗っかっていれば、
また落っことされる。
「もー痛いってば。」
「今日はダメ、帰れ。」
「はあ?」
「もう帰っていいから。」
「…何様のつもりなんだよ。」
はぁ、と溜め息を吐いて、
和を見つめた。
「なに、仕事上手くいってないの?
それとも…そういうの?」
恋愛下手な和のことだし、
どーせそーだろ。
お見通しだかんな。
「そういうエロい目で見るの、
やめた方がいいよ。
和、普段はポーカーフェイスで貫いてるけど
俺といるとすぐに顔に出るから。」
それだけ言ってから、
「ばいばい。」
と和の家から出た。
「うっえー、さむぅ…」
はー、と息を吐くと、白くなる。
…一年ぶりだ。
「…なんなんだあいつ。」
あー、時間ムダにした。
明日も早いのにさ。
ほんと自分勝手なヤツ。